物置と化した2階のひと部屋でパンチングセットをバシンバシン叩いていたら母親が物陰から現われて「2階でドンドン、狂ったのかと思った」なぞと口にされた日には、いやいや、狂いそうな兆候でもありましたか、これほど穏やかな人は他にみたことがありませんが、と心中で返した、このパンチングセットは貴方の旦那さんが購入したものではありませんか、とも。
 狂ったなどといわれてその仕返しをしないのを孫の親の代まで恥として伝えられるのはごめんなので、冷蔵庫からシュークリームを取り出して「これいつの?(いつ買った? の意)」と母親に訊いておいて、今度は、母親に指を向けて「これいつの?」、と訊いた、らば、笑われた。くっ、仕返しは失敗した。