テレビで転校話があって何だか思い出した。9年前、中学1年生の今頃のことを。

 当時、3月の終業式をもって転校した子が同級生にいた。転校するのを知ったのはその一ヶ月前だったように思う。その子とは何人かで話をすることが多くて、2人だけで話すことは殆どなく、僕のことも苗字に君付けで呼んで、それほど仲が良いとはいえなかった。それが、終業式まであと1週間のころ、下の名前に君付けで呼んでくれるように。
 そして終業式の日、それはお別れの日、その子は教室の前にある壇上に立って、同級生の名前を一人ひとり呼んでは、それぞれに言葉を贈ってくれた。僕には、「普段は物静かなのに時々変なことを言う子〜」なんたら、だった。この言葉も心に残っているけれど、その前の、言葉ではない僅かな間が、とても心に残っている。順番が回ってきたとき、その子と目が合ってから名前を呼んでくれるまでの僅かな間、少し言いよどんだようにも見えた、あの間隙。その子は、僕を苗字で呼んだ。他の仲の良いクラスメイトには呼び名やあだ名だったけれど、自分とはまだ日が浅いせいか、言いなれていなかったのか、下の名前では呼んでくれなかった。

……。終了。


 朝に一口だけ飲んで、そのまま部屋に置き忘れたカフェオレがあるんだけど、これは飲んでも大丈夫なんでしょうか。何十時間経ってるんだろう。