突然の夕立で雨宿りしていると、雨傘をさした彼女がこちらへ近づいてきた。頭の方へ傘を差し出すと彼女は言う。
「こういう場面をずっと想像してた」
 辺りの薄暗さとは対照な表情がそこにあった。無闇には明るくない、微笑みが。


 こんなのがメモ帳に書き留めてあった。妄想メモ。過去の自分の妄想力、おそろしや。
 こんな、夏の夜の小咄(こばなし)。